ささみの燻製、侮るなかれ。

ファッションを中心に、思ったこと

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茶のブーツ 藍色ニットワンピース
真っ赤なリップ 透明な秋。



ヘッドホン思い出の曲
目を閉じて君の隣にそっと寄り添う



迷子犬 鉄塊に轢き殺された。
探していますと書かれたポスター



湯を注ぐ 窓は曇った深夜二時
ほんの数分背徳の味



何者に成れずにもがく
僕たちは何もない、ただ、ただ生きていく



多様性 現代社会 バカの壁
メイクアメリカ グレートアゲイン



おめえさん、まあるいこころもってるか?
世界じゃそれを愛とよぶんだぜ



梅雨明けの土に潜んだ死のにおい
ジジジジジジと鳴き止んでいる



やくそくだ、迎えに行くよ。
幾年も隔てて言葉未だ忘れない



掌に何度も書いた人の文字
血と肉の味 胃もたれがする



ひとりきり聴く音楽は
君の場所まで透明な僕を連れてく



見上げると蛍光灯がこときれた
換えの命を僕らは持たない



コオロギの湿った声のような夜。あなたが居ないとすこしさみしい

ファッションの敷居が高すぎる、どうにかならないか。

おしゃれは好きだけど、コレクションとかはよくわからん、そういう気持ちを持っている人は多いと思います。僕もわかりません、しかし、ちょっと一回真剣に考えるか、ということで書いていきます。

 

おしゃれをする初めの動機はモテたいというシンプルなところから始まってくると思うんですが、だいたいのおしゃれな人はもはやそんなことを考えていない(と思う)。

服を着るというのは、その周辺の文化に属するという手段であり表明です。穴の空いたニットを着てたならパンクしてそうだし、スウェットならダンス、黒や紫の柄シャツとかはそういう人たちです。着物などの民族衣装などは(今の時代に着ているのを見ると)そういった側面がより強く意識される服になります。日本文化ですよ!!と主張しているわけです。要するに、服とは整えられた布ではなく、ある文化のコンテクストを人に与える装備品なのです。

そうして文化的アイデンティティを得るわけですが、それだけじゃ「好きな人たちの一人」です。まだ自分を特定するには至らない。もちろんone of them で満足する人も多いし、それになんら問題はありません、文化を表明する目的は達成されとるわけです。しかし、それに満足しない我の強い輩は差別化を図ります。個性的という称号を欲しがります。アーティストとかそういった類はそういう傾向がありますね。そのために、奇妙な色の組み合わせであったり、他の文化的意味を持つアイテムとの組み合わせであったり(例えば和服にハットを合わせるようなもの)、別の表現形式からの引用であったり(服に絵を描いてみたり)いろいろしていくわけです。素材や着心地、機能性といった要素も関わってきます。その中で、支持されなかったものは淘汰され、美しい、かっこいい、便利だとされたものは生き残る。そうして文化として複雑化、重層化していったのが今のファッションです。

自分のアイデンティティ、寄り添っている文化や、その日の気分を、持っている文化的アイテムである服を組み合わせて全体を演出する、それが毎日のおしゃれの醍醐味なのです。おしゃれ好きな人は、だいたい意識的無意識的にそういうことをしてると思います。任意の文化+任意の文化+我の強いひねりという式からおしゃれという解を導くゲームです。

 

ところで、パリコレとかそういう意味不明なやつですが、これも、無理やりシンプルに考えれば、任意の文化+任意の文化+我の強いひねり、という式が当てはまります。もちろんそれは日々のおしゃれよりもめちゃくちゃに高度で複雑ですが、究極的にはそんな感じだと思います。その融合のバランスをいじって、美しい、かっこいい、面白い、おしゃれという解を出そうとデザイナーさんが頑張っているのがコレクションの場です。なので、それがおしゃれかどうかはわからない。もちろん彼らはプロですが、失敗することだってあります。また、ある文化の人から見たらおしゃれでも、別の文化の人から見たらおしゃれじゃない、とか、究極的には個人の感性の問題になってきたりします。パリコレに出てるからファッションの最先端=おしゃれだ、でも意味不明だ、ハイファッションはわからん、と考えてしまいがちですが、そうではない。

 

ハイファッションはぱっと見何が起こっているのかわからない。僕も目を凝らしてもわかりませんでした。ただ、その正体は、文化と文化を混ぜて、時には壊したりして美しいものを発見する実験現場なのです。そう考えると、ファッションというものが面白く見えてきませんか。

 

 

。。。いい感じに区切りをつけて終わりたかったのですが、そうはいっても何と何の文化が合わさってるかとか見てわからん、尤もだと思います。僕も実はそこが全然わからず勉強中としか言えないのですが、やはり有名なカルチャーとその中での一般的なファッションの例(ストリートとかアメカジとかミリタリーとかいろいろありますね)、そこにひねりとして加えられる素材の知識(ウールやらコットンやら化学素材やら、その中でもどこ産がいいとかあります)、色彩の知識(紺色と黄色は補色なので相性がいい、みたいなもの)、そして欲を言えばひねりの例(デカイ肩やクソ長い袖とか)、他の視覚的な作品であるアートや、カルチャーに影響した思想、とかを学んでいると視点がぐっと広がるのだと思います。

そして、自分がおしゃれになることを目指す時も、個別の服がどんな文化にどんなひねりを加えたものかをまず意識して、そこから全体を組み合わせるのがいいのではないでしょうか。

長々と書きましたが、これを読んでみんなもっとおしゃれを楽しんでくれたらいいなあ、と思ってます。いろんな人に読んでほしいのでシェアしてくれたらめっちゃ嬉しい。

 

あと、かなり主観的に大雑把に書いたので、ファッションフリークの方々からすれば色々思うところがあったりするかもしれません、その時はお手数ですがご指摘いただければありがたいです。